「英語を使って働きたいけど、どんな仕事があるんだろう?」
「仕事で英語を使うには、どのくらいの英語力(TOEICスコア)が必要なの?」
「英語以外に必要な能力って何?」
英語が好きで、将来は英語を使った仕事に就きたいと思っている方。漠然とした希望はあるものの、具体的にどんな仕事があるのか疑問に思うことありませんか?
自分の身近に英語を使って働いている人がいないと、仕事に対する具体的なイメージが湧かないのも当然です。
そこで本記事では、学生時代に英語が全くできなかった経験を持つ海外営業マンのわたしが自身の経験から、
・ 英語を使って働くにはどんな仕事があるのか
・ その仕事に就くために必要な英語力
・ 語学以外に必要なスキル
について紹介していきたいと思います。
Contents
はじめに
こんにちは。ミナトです。
国内の化学メーカーで海外営業の仕事をしています。わたしは昔から英語が好きで、将来は英語を使った仕事がしたい!と思っていました。最初に就職した会社でその夢を叶えることができず、3回の転職を経験して今の会社に入りました。
学生時代に留学経験もなく、大学卒業前に受けたTOEICのスコアは280点。友人からは「どうやったらそんな低い点数が取れるんだ?」とバカにされる始末。
そんなレベルだったわたしがアメリカ駐在を経験し、売上を伸ばすために日々、海外のお客様や現地法人のメンバーと英語でやり取りできるようになるなんて、学生時代には想像もつきませんでした。
自分がやりたいと思ったことを最後まで貫き通せば、たとえ時間がかかっても夢は実現するんですね。
というわけで、英語を使った仕事に就きたいと願う方に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
英語を活かした仕事にはどんなものがあるの?
英語を使った仕事で、誰でもすぐに思いつくのが「通訳・翻訳家」、「貿易事務」、「英語教師」、「ホテルの接客業」、「キャビンアテンダント」、「旅行会社の添乗員」などでしょうか。
こうしたイメージは、実際に世の中で英語を使って働いている人たちの実態とも、おおむね合致しています。下記は英語を使った仕事をしている人たち500人に行なわれたアンケート調査ですが、回答者の仕事の上位8つが示されています。
表1:あなたの職業はなんですか?
(出典:Biz Hits「英語を使う仕事ランキング【男女500人の職業をアンケート調査】」より抜粋)
表の中には頭ですぐにイメージできる「英語講師」や「通訳」の仕事が入っていますが、その一方、ぱっと見ではよくわからない仕事もあります。例えば1位の「事務・管理部門」。これだと具体的な仕事内容までは分かりませんよね。
実際には企業の人事部で働く人が外国人スタッフを採用するのに英語が必要とか、海外からの問い合わせに対応するだとか、海外工場と電話会議をする、といったことで英語を使うようです。
2位の「接客・販売」も同様に、百貨店やアパレルショップで働く方が、外国人のお客様対応で英語を使うとのこと。
このアンケートを見て分かるのは、単純に「英語を使う」と言っても実に多くの業界・職種が存在しますよ、ということ。
しかしランキングをもう少し踏み込んで考えてみると、世の中にはざっくり2つの働き方があるということも分かります。一つはフリーランスとして働く。もう一つは一般企業に就職し、英語が使える部署で働く。この2つの選択肢があるということです。
もちろん、「海外で働く」ことも選択肢として考えられますが、その点については別の機会で触れたいと思います。
前者の「フリーランスとして働く」は、通訳や翻訳者として特定の企業に属さず、複数の会社から仕事を受注して生計を立てていくという働き方です。
しかし帰国子女でもない人が、いきなりフリーランスとして未経験で通訳や翻訳の仕事で生計が立てられるのか?というとまず難しいです。もし英語のできない当時のわたしがその場面に立たされることがあれば「それはムリ!」って即答しますね(笑)。
まず、通訳には訓練が必要です。そのうえ競争も激しい世界。未経験で始めて食える世界ではないのです。ですから最初からこちらの選択肢を取ることをわたしはおススメしません。
では一般企業で働きながら、英語を使う部署で働くというもう一つの選択肢についてです。
この企業で働くという選択肢で気になるのは、恐らく「どのくらい頻繁に英語を使うのか?」と「どれくらいの英語力が求められるのか?」という英語の使用頻度と語学力の2点ではないでしょうか?
続いてこの2点について詳しく説明していきます。
どのくらいの頻度で英語が使えるの?
英語が好きな人であれば毎日でも、英語を使って仕事がしたいと思うでしょう。それも英語の4技能(話す・聞く・読む・書く)をフル稼働させ、会社でバリバリ働く自分の姿をイメージするのではないでしょうか。
しかし英語を頻繁に使うかどうかは「働く会社、部署によって全然違うよ。」というのがわたし個人の実感です。いかに国際的と呼ばれ、世界中に支社や工場を展開している会社でも、まったく英語を使わない部署だってあります。
例えばわたしが働いている会社がそうです。工場や現地法人は世界中にありますが、国内の製造部門で働いていたら英語を使う機会はまずありません。営業部門でも、国内担当になれば英語を使う機会は皆無です。
一方で法務部や財務部では、しばしば英文の契約書を読んだりレポートを書いたりするため英語を使用しています。
こうした事実を裏付けるアンケート結果があります。
図1:企業・団体内での英語の使用状況と目標とする英語力
(出典:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会「英語活用実態調査 2019」より抜粋)
アンケートによると2019年時点で、6割以上の企業が「英語は海外との取引がある部署だけで使われている」と回答しています。
それなら外資系企業で働けば上司も外国人だし、全員が毎日英語を使うのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし外資系でも英語を使わず仕事をしている人たちがいます。
下の円グラフをご覧ください。
図2:外資系企業で働いている人に聞いた!英語・外国語を使う頻度は?
(出典:マイナビ転職「外資系企業にまつわるウワサ、それって本当? 外資系企業で働いている人に聞いた、メリット・デメリット」より)
こちらは外資系企業で働いている社員に、どれくらいの頻度で英語を使うのかをたずねたアンケートです。
回答を見ると、外資系でも英語をまったく使わない人が3割もいます。つまり、「外資系=全員が英語を頻繁に使う」ではないのです。
これは外資の日本法人が存在しているのは、日本のお客様にサービスを提供するのが目的だからです。サービスを販売するのが日本のお客様なら、取引相手は日本人ですからね。英語は不要なんです。
つまり、日本の会社だろうが外資だろうが、「英語を頻繁に使いたければ、海外と関わりのある部署への就職(転職)を目指せ!」というのが、最重要ポイントです。
英語力はどれくらい必要なの?
では、英語を頻繁に使う部署ではどれくらいの英語力が求められるのでしょうか?
TOEICの運営団体によると、海外部門に期待されるTOEICスコアは570点〜810点とのこと。
しかし、これはあくまで一般的な目安です。570〜810点って、スコアの幅がかなり広いですからね。
わたしが働く海外営業部でも、中国、韓国、台湾のアジア市場の担当者でTOEICスコアが600点代の方がいます。これは海外の担当者が日本語を話せて、コミュニケーションはもっぱら日本語のみだからです。
逆に日本語が一切通じない担当者を相手にする場合だと、TOEICで750点〜800点程度は必要になります。Eメールのやり取りでこちらの言いたいことを相手に伝え、向こうの言っていることをストレスなく理解するために、必要なスコアという意味です。
ちなみにわたしが初めて海外営業に転職したときのTOEICスコアは785点で、800点に足りませんでした。それでも入社後にヨーロッパやアメリカのお客さんを任され、英語を使った仕事に没頭することができました。
ここで大事なポイントは、仕事をする上で必要な英語力とは、どのコミュニケーション手段(メール、電話・WEB会議)でも、
①相手の言い分を正しく理解すること
②こちらの言い分を相手に正しく理解してもらうこと
この2点に尽きるということです。「正しく理解する(してもらう)」能力はビジネスコミュニケーション上、非常に重要です。
TOEICのスコアが目安でしかないのは、TOEICが英語の4技能(話す・聞く・読む・書く)のうち、「聞く・読む」だけを測定しているに過ぎないからです。
相手の言っていることを正しく理解し、こちらの言い分も正しく理解してもらうためには、英語で「話す」、「書く」能力が絶対的に必要なのです。
英語を使って働く上で必要なスキルとは?
先ほども触れましたが、英語を使って働く上で重要なことは、①相手の言い分を正しく理解し、②こちらの言い分を相手に正しく理解してもらうこと、です。
これは英語を使って仕事をする人に限らず、企業で働く全てのビジネスマンにとって必須のスキルです。他にも仕事を進めていく上で、わたしが重要だと感じる4つのスキルを挙げておきます。
①プレゼン能力
②仮説を立てる力
③行動力
④ストレス耐性
①プレゼン能力(説明能力)
これは自分が伝えたいメッセージを、簡潔に相手に説明する能力です。相手に自分の言い分を正しく理解してもらうことにもつながります。
わたしが仕事をしていてよく目にするのが、
・文章がやたらと長く、何が言いたいのか分からないメール
・文字ばかりが多く、結論が示されていないプレゼン資料
・相手にとって無意味な説明ばかりが続くプレゼン(延々と会社の歴史を説明している、など)
です。
メールでもプレゼンでも、まず冒頭で結論や要点を簡潔に記載することです。頭で分かっても実行できる人が意外と少ないので、意識的に訓練することが必要です。
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②仮説を立てる力
ある事象をもとに、きっとこんなことが起こるはずだ。と自分なりの予測を立てる力です。
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③行動力(スピード)
相手から情報を受け取ったら、即座に動くフットワークの軽さです。特にお客さんからの依頼事項は真っ先に対応するスピード感です。素早く対応し、相手の期待より早い納期で
仕上げれば、相手から信頼され、次の仕事を受けやすくなります。
④ストレス耐性
海外の方と仕事をする以上、ストレスはつきものです。相手の言っていることが理解できなかったり、逆にこちらの言うことが通じなかったりするのはよくあること。
また、お客さんから製品クレームを受けたり、商品の納期遅延で「とにかく早く納品しろ!」と矢のような催促のプレッシャーを受けることもしばしば起こります。
自分の力ではコントロールすることのできないハプニングが次々に起きるのは、特に海外の方と仕事をする上で避けられないことです。そんなプレッシャーに耐えるだけの精神的な強さを持つことも、仕事をする上で大切なスキルと言えます。
英語以外にも資格が必要?
英語を使って仕事をする上で、資格そのものが必要になることはないと言えるでしょう。
考え方としてあるのは、英語とは無関係の資格を使い、その資格と英語の組み合わせを自分のウリにする。というものです。
例えばクレーン運転士の資格を取って、「英語のできるクレーン運転士」として物流業で働くとか、マンション管理士の資格を取って「英語のできるマンション管理士」として不動産業界で働くとかです。
しかしこれはあくまで自分のウリを作るための例えなので、そうした組み合わせの求人が実際にあるかどうかは別の話です。
ちなみに、わたしが国内メーカーの海外営業を選んだ理由は、「日本製品を海外に広めたい!」という思いがあったからです。この点については、別の記事で紹介したいと思います。
大事なのは「英語を使って何がしたいのか?」はっきりさせること
ここまで、
・ 英語を使って働くにはどんな仕事があるのか
・ その仕事に就くために必要な英語力
・ 語学以外に必要なスキル
について、書いてきました。
英語を使う仕事は世の中にたくさんあります。そこでどんな職業を選択するかは、最終的に自分が「英語を使って何をしたいのか?」を考えることで決まってきます。
自分は英語で人と話すのが好きなのか。それとも書くことで相手に伝えることが好きなのか。英語を使って、何をしているときが自分はいちばん幸せなのか?それらを考えることで、どんな職種を選択するかが決まってくるはずです。
わたしは普段から人と話すのが好きでしたし、相手から「あなたの説明が分かりやすい!」と喜んでもらえることが何より嬉しかったです。未知の人に、自分の言いたいことが英語で伝わった時の感動。これは何物にも代えがたい喜びがあります。だからこそ海外営業の仕事を選んだと言えます。
まとめ
今回の記事内容をまとめます。
ポイント
・仕事選びは英語の「使用頻度」と求められる「語学力」の2点で考える。
・英語を頻繁に使いたければ、海外と関わりのある部署への就職(転職)を目指す。
・海外と関連のある部門で働くならTOEICスコアで750点以上あればOK。
・英語以外に①プレゼン能力、②仮説構築力、③行動力、④ストレス耐性が必要。
・英語を使った仕事に就くために「英語で何をしたいのか?」を明確にする。
英語を使った仕事に就くにはTOEICスコアが高いに越したことはありません。しかしそれは目安でしかありません。ですから現時点でスコアが低くても、悲観する必要はありません。それよりも自分が好きな英語を使って働くことで、何がしたいのかをはっきりさせておくことが大切です。
やりたいことが明確になれば、夢は必ず実現できます。楽しく、前向きに進んでいきましょう。