コロナ以降は客先とのやり取りもWEB会議が主流となり、相手の顔が見える形でのコミュニケーションの頻度が増えてきました。以前の電話回線を使った会議とは違い、お互いの顔が見えるため、コミュニケーションはとてもやりやすくなったと感じます。
その反面、時々ノンネイティブスピーカー同士の会話で、相手の意図が理解できない、発言が聞き取れない、という場面で戸惑うことがあります。特にWEB会議の以下のような場面で困ったこと、ありませんか?
「早口でしゃべられたので、発言内容が聞き取れない。」
「相手のアクセントが強くて、何て言ったのか分からない。」
「相手の使った表現の意味が分からない。」
「こちらの意図が相手に正しく伝わっているだろうか?」と不安になる。
グローバルに仕事をするうえで、英語が母国語ではない人たちとのコミュニケーションは避けて通れません。そこで今回は、ノンネイティブスピーカーとの会議、コミュニケーションを円滑に進めるための5つのコツをまとめてみました。
Contents
その1:ゆっくり話してもらうようにお願いする
早口で話している(と感じる)人には、もっとゆっくり話してもらうようにお願いします。
”Could you please speak more slowly?”
相手が話してる最中に、「もっとゆっくり話していただけますか?」と言うのはちょっと失礼にならないかな?と、わたしも最初の頃はすっごく気を使いました。だけどこれは失礼でもなんでもありません。
会議で大切なことは、お互いに内容を理解して合意を形成することだったり、何か相手にお願いをしてアクションを起こしてもらうことだったりするわけです。そんな時に相手が何を言っているのか分からないまま、分かったふりをして会議を進めることは非常に危険です。「分かったふり」で会議を進め、最後に発言者から「そんなこと言ってない!」と言われて会議が混乱、他の参加者に迷惑をかけてしまうことも十分に起こりえます。
なので相手に対して失礼と感じる必要はありません。他の参加者のためにも、早口で話す人にはゆっくり話すようお願いしてみましょう。
その2:はっきりと発音してもらう
「あれ、今、なんて言ったの?」となるのが相手の発音です。ぼそぼそっとしゃべるか、単語が短縮されて発音されたか、アクセントが強すぎたのか、とにかく何て言ったのかよく聞き取れないことがあります。そんな時は、
“Could you please say that again?”
と聞き返しましょう。すると相手も「あ、自分の言ったことが伝わらなかったな。」と察して、もう一回、同じことを言ってくれます。
特に数字はネイティブでも聞き間違える場合があるので要注意です。疑問に思ったらその場で確認することです。
“Did you say, 50 (fifty) or 15 (fifteen)?”
“50 (Fifty, Five zero).”
例えば「いま、『50』と言いました?それとも『15』ですか?」と聞けば、相手もはっきりと「50(five zero)だ。」と意識して答えてくれます。
その3:簡単な単語、表現で言い直してもらう
英語での会話に自信が出てきた人でも、会話の中に自分の知らない単語が出てくるケースが時々あります。未知の単語に出くわし、相手の発言の意味が分からなくなる場合です。
例えばですが、
“The labor costs are enormous.”
と言われ、「ん、enormousってどういう意味だっけ?」となるような場面です。enormousがbigの意味だと知っていれば話は簡単ですが、単語の意味を知らず、相手の発言が議論に影響を与える内容だったりするとそのままスルーするわけにも行きません。なのでそんな場合にも臆せず
“What does it mean, ‘enormous’?”
とダイレクトに質問するか、あるいは
“Enormous means ‘big’ or ‘huge’? ”
こういう意味ですかね?と的外れでも自分の理解で聞き返すようにしてみましょう。そうすると相手がもっと簡単で分かりやすい単語、"It means 'big'."と言い直してくれるでしょう。
その4:Chat機能を使う
相手のアクセントがきつすぎて、何回聞いてもやっぱり分からない。そんなときはWEB会議のチャット機能を使いましょう。ここで相手が言った単語を書き込んでもらうのです。そうすれば今まで相手の発音ではまったく分からなかった単語が、文字で明確になります。
綴りが分かれば知らない単語もその場で調べられますからね。お互いの理解がよりスムーズに進みます。
わたしは相手から「ナンバルフォル、ナンバルフォル」と何度も言われるのですが意味がまったく分からず、ついに”Please write it in the chat message.”とお願いしたところ、”No.4”と返ってきたので拍子抜けしたことがあります。簡単な単語でも発音やアクセントによってはまったく分からなくなってしまうこともあるのです。
会話では分かりにくい単語や文章も、文字にすることですっきり解決することはよくあります。会話の途中で迷ったら、Chatに書き込んでもらいましょう。
相手に聞き返すときの確認の仕方
とは言え相手が興奮している最中、「今の発言をもう一度繰り返していただけますか?」とダイレクトに聞き返すのはちょっと勇気がいりますよね。そんなとき、わたしが会議でいつも使っている有効な聞き方があります。それは、
「(あなたの発言を)私はこのように理解しましたが、その理解で正しいですか?」
という質問の仕方です。この方法であれば、相手とのコミュニケーション上、何の支障もありません。自分の理解が正しければ会議はスムーズに進められますし、もし理解が正しくなければ、相手が「いや、そういうことじゃないんだ。」と言って再度説明し、内容を訂正してくれます。そしてお互いの理解がさらに深まることになります。
また、相手が自分の意見を一通り述べた後で、
”Do you understand?”
と聞いてくる場合があります。(先方からこちらに対して何らかの行動、アクションをお願いされる場合、このように聞かれることが特に多いです。)
自信が無ければ、
“Not exactly.”
と答えておいて、上記のように、「自分はこういう理解だけど、合ってますかね?」と確認するのです。
この「自分の理解はこうだ。それで合ってますか?」という質問の方法は、ネイティブスピーカーとの会議でも、わたしは多用しています。相手にそれほどストレスを与えずコミュニケーションを深める方法として便利なので、ぜひ参考にしてみてください。
その5:事前に資料を準備しておく
伝えたいことを相手に正確に理解してもらうため、事前資料を用意しておくというのも非常に有効です。メモ書き、箇条書き程度の簡単なもので十分です。何も準備しないで会議に臨むよりはるかにマシです。
パワポのスライド1枚にポイントをまとめて、会議の際、画面共有で投影するのです。これだけで相手の理解力はぐっと上がります。
資料は簡潔に!
事前資料の内容は、もちろん会議の内容によりますが、基本的にパッと見て分かる簡潔な内容にするのがおススメです。下の図は実際にわたしがノンネイティブスピーカーとの会議で使用した資料を加工したものです。
(図)パワポで作った資料の例
伝えるべきことを3つのトピックに並べています。もちろん、この後に表や図をくっつけたのですが、トピックスを書き出すだけの、このページ1枚であれば3分もかからず作成できます。
よくあるのが、ページいっぱいに文字が書き込まれている割に大事なポイントが何も書かれておらず、かえって説明が難しくなってしまうケースです。わたしの会社にも時間をかけてそんな長文資料を作ってくる人がいます。
長文の資料は見せられた瞬間、見る気力が薄れます。箇条書きで十分です。ポイントを絞って簡潔に記しましょう。
自分が相手に話すとき注意すること
ここまで、ノンネイティブスピーカーとの会議で自分が主に聞き手になる場合のコツをいくつか述べてきました。
- ゆっくり話してもらう
- はっきり発音してもらう
- 簡単な単語、表現で言い換えしてもらう
自分が話し手として相手に伝える必要があるときは、この逆を実践すれば良いのです。つまり、①ゆっくり話す、②はっきり発音する、③簡単な表現を使う、という3点ですね。
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まとめ
今回の記事「ノンネイティブスピーカーとの会議を円滑に進める5つのコツ」をまとめます。
ポイント
- ゆっくり話してもらう
- はっきり発音してもらう
- 簡単な単語、表現で言い換えしてもらう
- Chat機能を使う
- 事前資料を準備する
ノンネイティブスピーカーと会議をすると、「どこどこの国の人は、なまりがきつすぎて聞き取りにくい。」といった、国籍による発音やイントネーションの違いがよく話題になります。
しかしそれは日本人である我々も同じことを言われていると思った方がよいです。相手から「あの日本人の英語は分かりにくいよな。」って間違いなく言われているハズです。
ノンネイティブ同士の会話ですから、少々の間違いや誤解、ストレスはつきものです。そうしたストレスを許容しつつも、ビジネスの最終ゴールを一緒に達成していくんだ。そんな思いで相手と丁寧に会話をすることが大切ですね。