「仮説を立てて計画を作れ!」と上司に言われたけど、どういうことか分からない。
情報収集ばかりに時間がかかって、なかなかレポートが書けない。
完璧に作りこんだはずの企画書も、「何が言いたいのか分からない。」と言われ却下された。
この記事はこんな方におすすめ
- 仕事をもっと効率的に進める考え方を知りたい
- 説得力のある企画書(プレゼン)を作りたい
- 仮説思考が仕事でどう役立つのか知りたい
おすすめの参考文献(6冊)
- 仮説思考(内田和成 / 東洋経済)
- ビジネス仮説力の磨き方(グロービス / ダイヤモンド社)
- イシューからはじめよ(安宅和人 / 英治出版)
- マッキンゼー式世界最強の仕事術(イーサン・M・ラジエル / SB文庫)
- マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック(イーサン・M・ラジエル / SB文庫)
- マッキンゼー流入社1年目ロジカルシンキングの教科書(大嶋祥誉 / SBクリエイティブ)
Contents
仮説思考ってなに?
「仮説」とは、その名が示す通り、「まだ正しさは証明されていないが、現時点で、最も答えに近いと思われる考え方」のことです。
例えば、具体例を挙げると、「平日はみんな会社や学校に行ってるから、ディズニーランドはすいているはずだ。」と考え、実際に出かけてみたら本当にすいていた。という場合。
これは自分の「仮説」が当たっていたということになり、次回からも「平日のディズニーランドはすいている。」という前提で行動することになります。
逆に平日でも混雑していた場合、「平日のディズニーランドはすいている。」という仮説は間違っていたということになり、「平日のディズニーランドは混雑する」のかもしれないし、もしかすると「曜日とディズニーランドの混雑状況は関係がない。」のかもしれません。
これが「仮説思考」です。
(参考文献:「仮説思考」(内田和成 / 東洋経済))
仮説思考は何のために必要なのか?
現代のビジネスは変化が激しく、ニーズやトレンドの移り変わりがとても速いです。また、問題点や課題が目に見えることがなく、はっきりと分からないケースが大半です。
そうした状況下で、何も対策をせず放っておくと、問題が顕在化したときにはすでに手遅れ。という事態になりかねません。
そこで、仮説思考の出番となります。
例えば、仮説思考を使って「市場は今後、大きく拡大していくのではないか?」という自分なりの問いを立てたとします。その問いの正しさを証明するために、今度はその裏付けとなる情報収集と検証を行っていきます。
その過程で得られた事実から、改善・解決に必要な対策を考え、実行していく。というのが一連の仮説思考の流れになります。
仮説思考の大まかな流れ
- 問いを立てる(ex. 市場は今後、大きく拡大するか?)
- 問いに対する裏付けの情報収集
- 収集した情報を分析する
- 分析によって得られた事実から問題を細分化する
- 問題に対する打ち手を考える
仮説思考を使う目的
- 顕在化していない問題の発見
- 問題点の細分化
- 問題に対する打ち手の検討
仮説思考ができると何がいいのか?
仕事で仮説思考が使えるようになると、仕事のスピードが上がります。自分なりの仮説を持つことで、やるべきこと、すべきでないことの区別がつき、情報の取捨選択ができるようになるからです。
また、仮説に対する情報感度が上がるというメリットもあります。
例えば、自社商品の開発にあたって、競合品の弱点を調べることになったとします。
わたしの会社で実際にあった事例ですが、こういう問題点の洗い出しをするとき、仕事が遅い人は「競合品に対する市場クレームを全部調べよう。」という網羅的な発想をしがちです。
「時間をかけて、クレーム内容を一件一件調べるぞ!」というのです。
一方で、もしもこのときに現場のサービス担当者から「競合品は故障が多い。」との情報を得ていたとしたらどうでしょうか。
「競合の弱点は、製品の耐久性にありそうだ。」という仮説を持つことができます。すると競合調査でも「耐久性が弱い」という仮説を裏付ける情報だけを取捨選択できるようになります。
全数調査と比べ、これは大きな時間の節約です。しかも膨大な時間と工数をかけて綿密に実施した調査でも、出てくる結果はやっぱり「競合品は故障が多い。」という結論だったりするのです。
普段から競合品を注意深くウオッチしていれば、情報感度もあがります。
情報感度が高ければ、サービスマンとの何気ない会話から「競合品は故障が多い。」という情報をキャッチして、「自社商品の強味を活かせるかもしれない。」という新たな仮説に結びつけることもできます。
仮説思考のメリット
- 仕事のスピードが上がる
- 限られた情報でも決断が下せるようになる
- 問題意識が高まり、情報感度が上がる
仮説思考はどうやって使う?
仮説思考の大まかな流れは、問いを立てる→情報収集→分析→問題の特定→対策と述べました。
問いを立てたあとは、仮説をより細分化していくためにマインドマップを使って「イシューツリー」を書いていくと、整理しやすいです。
この細分化でよく言われるのが、
「MECE(ミッシー)を意識する」
ということです。
MECEとは「もれなく、ダブりなく」という意味で、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略。
要は「各要素が重複しないように、かつ、もれがないように検討しなさい。」ということです。
仮説思考は最終的に、対策につながる何らかのアクションを目的としています。
そのため、分析から導き出した問題に対して改善策などの提案ができなければ、単なる問題の羅列で終わってしまいます。
導き出された事実、分析から何が言えるのか?
自分なりに解釈して、答えを出すことで、分析に価値を生み出すことができます。
仮説思考を鍛えるにはどうすればよいか?
ビジネスにおける仮説思考は、効率的な問題発見、解決のための手法です。普段から意識的に行動することで、少しでも仮説思考を鍛えていくことができます。
仮説思考を鍛える4つの方法
- 「本当にそうなのか?」疑ってみる
- 常に"Why?"(それはなぜか?)を考える
- いろいろなことに興味を持つ
- 本を読んで知識を増やす
「本当にそうなのか?」疑ってみる
何も考えず日々を過ごしていると、人間は世の中の出来事を無批判で受け入れることに慣れていきます。そして、なぜ問題が起こったのかを考えないようになっていきます。
例えば、会社の物流部門で荷物の発送ミスが起こったとします。関係者は口をそろえて
「慣れない新人が対応したから、ミスが起こったんだ。」
と言っていたとします。無批判・無思考な人は
「そうか、作業に慣れない新人だから発送ミスが起きたのか。」
と関係者の言葉を何も考えず鵜吞みにしてしまいます。
その結果、再発防止策として出てくるのが
「新人に荷物の発送方法を再教育する。」
という、安易な結論です。
こうした場面では一回、頭の中で他人の言うことを疑ってみましょう。
「関係者の言ってることは、本当に正しいのか?」
と疑って考えてみるのです。そうすると、
「もしかしたら他の原因があるのではないか?」
という視点から、仮説を考えることができるようになります。
常に"Why?"(それはなぜか?)を考える
並行して、なぜその問題が起こったのかを考えてみることです。先ほどの例でいくと、
「なぜ商品の発送ミスが起きたのだろう?」
と、「なぜ?」を問うのです。
他の人は「慣れない新人が対応したからだ。」と言うかもしれません。
でも実は発送手続きが複雑で、ベテランが対応しても間違えやすい手順になっていたのかもしれません。
あるいは超過勤務が重なり、担当者がフラフラに疲れていてミスったのかもしれません。
だとすると真の対策は「新人への再教育」ではなく、「発送手続きのやり方を変更する」かも知れませんし、「超過勤務をなくすよう、シフトを組みなおす」かもしれません。
このように、常に"Why?"(それはなぜか?)をしつこく考えることで、問題の真因を突き止めることができるのです。
いろいろなことに興味を持つ
問いを立てたり、解決法を考えたりする際に、自分自身の問題意識と情報感度の高さが発想に役立ちます。情報感度を高めるためには、いろいろなことに興味を持つことが重要です。
通勤で普段は通らない道を通ってみる。
普段は読まないジャンルの本や雑誌を読んでみる。
自分とは違う趣味を持つ人と話してみる。
こうしたことも、自分に刺激を与え、発想の幅を広げることに役立ちます。
本を読んで知識を増やす
発想を広げるために、本を読んで知識を増やすことも有効です。
特に仮説思考については関連書籍がたくさん出版されています。現場で実践を重ねたコンサルタントの書いた本が多いです。
仮説思考についてさらに理解を深めたい、興味を持ったという方には、以下の参考文献をおすすめします。
おすすめの参考文献(6冊)
- 仮説思考(内田和成 / 東洋経済)
- ビジネス仮説力の磨き方(グロービス / ダイヤモンド社)
- イシューからはじめよ(安宅和人 / 英治出版)
- マッキンゼー式世界最強の仕事術(イーサン・M・ラジエル / SB文庫)
- マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック(イーサン・M・ラジエル / SB文庫)
- マッキンゼー流入社1年目ロジカルシンキングの教科書(大嶋祥誉 / SBクリエイティブ)
まとめ(仕事のスピードが上がる仮説思考とは何か?)
ビジネスマンとして必要なスキルの一つが今回の「仮説思考」です。
英語力があることは強味になりますが、それだけでは現実の仕事に対処できません。
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ポイント
- 仮説思考とは、顕在化していない問題を見つけ、解決法を導くための考え方である。
- 仮説思考には、①仕事のスピードが上がる、②限られた情報で決断が下せる、③問題意識が高まる、といったメリットがある。
- 仮説思考は、問いを立てる→情報収集→分析→問題の特定→対策、の流れで進める。
- 仮説思考を鍛える方法は、①「本当にそうなのか?」疑ってみる、②常に"Why?"(それはなぜか?)を考える、③いろいろなことに興味を持つ、④本を読んで知識を増やす
- 仮説思考をより深く理解したい人は、参考文献を読むのがおすすめ
わたし自身も、いきなり高度な仮説思考ができるようになったわけではありません。ただ確実に言えるのは、普段から仮説思考を意識している人と、そうでない人では、思考の幅や深みがまったく違うということです。
効率的で質の高い仕事ができるよう、早速、今日から仮説思考を実践してみましょう。
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